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福岡地方裁判所 昭和50年(わ)539号 判決 1975年12月26日

本店の所在地

福岡県久留米市日吉町一七番地の二二

法人の名称

佐藤株式会社

代表者の住居

同市日吉町一七番地の二二

代表者の氏名

代表取締役社長 佐藤隆俊

本籍

同市日吉町一二番地の五九

住居

同市日吉町一七番地の二二

職業

会社役員

佐藤實

明治四五年一月三日生

法人税法違反被告事件

検察官

饒平名正也 出席

主文

被告人佐藤實を懲役一〇月に処する。

被告人佐藤株式会社を罰金三、〇〇〇万円に処する。

被告人佐藤實に対し、この裁判確定の日から二年間、右懲役刑に執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人佐藤株式会社(昭和五〇年一月二五日までは株式会社佐藤商店と称していた。)は、福岡県久留米市日吉町一七番地の二二に本店を置き、襖紙、壁紙、その他襖材料等の卸販売業を営むもの、被告人佐藤實は、昭和三四年七月一日から同五〇年一月二四日まで被告人会社の代表取締役社長としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人佐藤は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和四六年七月一日から同四七年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の真の所得金額は五、八八三万四、二八二円で、これに対する法人税額は二、〇九三万六、四〇〇円であつたのにかかわらず、架空仕入れを計上し、期末たな卸商品の在り高を一部除外するなどの手段により、その所得の一部を秘匿したうえ、同四七年八月三一日、同市諏訪野町四丁目二、四〇一番地所在の久留米税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は二、四九八万七、一五六円で、これに対する法人税額は八五〇万七、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税一、二四二万八、九〇〇円を免れ

第二  昭和四七年七月一日から同四八年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の真の所得金額は一億五、一六七万九、〇二九円で、これに対する法人税額は五、四七二万三〇〇円であつたのにかかわらず、前同様の手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、同四八年八月三一日、前記久留米税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は六、三一九万一五一円で、これに対する法人税額は二、二二〇万七、二〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税三、二五一万三、一〇〇円を免れ

第三  昭和四八年七月一日から同四九年六月三〇日までの事業年度における被告人会社の真の所得金額は二億三、六八七万六、五四〇円で、これに対する法人税額は九、二六一万一〇〇円であつたのにかかわらず、前同様の手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、同四九年八月三一日、前記久留米税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は九、五一一万七、七九八円で、これに対する法人税額は三、五九二万九、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税五、六六八万一、〇〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告会社代表社兼被告人佐藤實の

1  当公判廷における供述

2  検察官に対する各供述調書

3  各上申書

一、右佐藤實、今福淳作成の上申書

一、右佐藤實、和田博作成の上申書および確認書

一、山下中、今福淳、和田博、三村光博の検察官に対する各供述調書

一、川添恵佑、森尾通、中原忠義、石井健一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、三宅重数、吉原広子、宮田徳治外一名、森崎一二、松村宗策、原田謙一、森尾通、中原忠義、山崎泰正、田島純雄、栗原美雪各作成の各上申書

一、大蔵事務官作成の

1  総利益率の算定についてと題する書面

2  受取利息、受取収益金の按分計算についてと題する書面

一、田中純一作成の売掛金についてと題する書面

一、押収してある貸倒メモ一綴(昭和五〇年押第二三五号の四)、預貯金明細書一綴(同号の五)、資産表一綴(同号の六)

判示冒頭の事実につき

一、福岡法務局久留米支局登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一、押収してある法人税確定申告書(自四六・七至四七・六)一綴(昭和五〇年押第二三五号の一)

判示第二の事実につき

一、押収してある法人税確定申告書(自四七・七至四八・六)一綴(昭和五〇年押第二三五号の二)

判示第三の事実につき

一、押収してある法人税確定申告書(自四八・七至四九・六)一綴(昭和五〇年押第二三五号の三)

(法令の適用)

一  被告人佐藤實の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

二  被告会社については、その代表者である被告人佐藤實が同会社の業務に関して判示の各違反行為をしたものであるから、法人税法一六四条一項に従い同法一五九条二項の罰金刑を科することとし、刑法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金三、〇〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 矢野清美)

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